覚めない微熱だけ、もてあましながら
自分の気持ちが、はっきりしない。
考え込んでいるうちに、ひとつの案が浮かんだ。
夏野裕也。この人の場合は、1~2回会っても駄目なんだ。つかみどころのない人だから何回も会わないとわからない。
何回も……会わないと駄目な人。
愛子は、裕也からメールの返事が来ていないのに、また送ろうとしている。
“夏野さんって不思議な人ですね。何回も会わないと、わからない人です”
またしても、素直な文章になってしまい何も考えずに送信した。
これが、想像もしていない方へ向かうとは思ってもいなかった。
………………
♪♪♪……~
携帯が鳴っても、気づかない。
まことのピアノバーに行ってきた今日、疲れたわけではないが急な睡魔に襲われ愛子はソファに寝ていた。
ほんの少し横になるつもりでいて、実際は数分しかたっていないがずいぶん長い時間寝ていたような気がする。
……!!!
ハッと目を覚ますとそこは、電気が煌々とついた静かすぎる自分の部屋。