覚めない微熱だけ、もてあましながら
「ちょっと待ってよ!おいてかないで!ねえ、なんで急いでんの?」

「お先に失礼しまーす」


二人は声を揃えて挨拶し、早足で出ていった。

麻里は、


「お疲れ様でした……」


二人の背中に、そっと小さい声で返す。

麻里が更衣室に入ると例の二人はまだいた。


「ねぇ、何か今日張り切ってない?いつもなら、化粧なおしてから帰るなんてあり得ないのに!」

「だって今日、これから合コンなんだもん!」

「合コ~ン!だって彼氏いるじゃ~ん!」

「いてもいいの!別にバレないバレない」

「あわよくば、テイクアウト?」

「あり得なくは~……、ない!」


そう言って制服のブラウスを脱ぎハンガーに掛けた。上下揃った黒い下着姿を見せびらかし、


「一応コレ、勝負下着。けっこう高かったんだよ」

「エロい~!」

“若いんだな……、あの子達”

と、羨ましく思った。
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