覚めない微熱だけ、もてあましながら
「はい! 私も楽しかったです」

「夜遅くに誘ってごめん」

「全然大丈夫です!」

裕也が愛子の方へ半身のまま愛子をじっと見ている。

“も、もしかして……ヤバいことになるのぉ~?”

裕也の顔が近づいてきた。チラッと上目遣いで見る。真剣な目をした裕也がすぐそこにいた。

“どうしよう……ちょっと予想外の展開だな……”

愛子は、とりあえず目を閉じた。



心臓が飛び出すくらいの勢いで、ひたすら受け身の姿勢で待ち構えている。



……と、裕也は愛子のオデコに軽くキスをした。

“……え?”

ハッと目を開けると裕也が見ていた。

「何を期待したの?」

意地悪なことを聞いてくる。

「何も期待なんか……今日はありがとうございました」

愛子は急いで車を降りた。振り向きもせずに早足で部屋に入り鍵を閉める。



ドキドキ、ドキドキ……。



恥かいた! もうヤだぁ~!

外では車のエンジン音が聞こえている。静まり返った深夜だから余計大きく聞こえた。
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