覚めない微熱だけ、もてあましながら
カーテンをチラッと開け外を見ると、裕也の車はまだとまったままだ。なぜか見逃すことができず、愛子はカーテン越しから車が去るのを見守る。
♪♪♪~……
携帯が鳴り、鞄から取り出すと裕也からメールが届いた。
“明日、仕事遅刻するなよ。おやすみ、お嬢さん”
すると、車が走り去る音が聞こえた。慌ててカーテンから外を見ると、裕也が車を走らせ、ウィンカーをあげ右折してあっという間にその姿は見えなくなった。
愛子は右手で携帯を握りしめたまま、裕也の車が右折した場所を見つめていた。