覚めない微熱だけ、もてあましながら
……。

「……好き?」

裕也は何も答えない。答えをさがしてる感じも見受けられない。

麻里は息を殺し裕也の横顔をじっと見つめ答えを待った。すごくドキドキしていた。裕也の答えに。

「愛子さんって……」

「う、うん……」

「可愛いけど」

「可愛いけど? 可愛いけど、何?」

「恋愛するには程遠い気がする」

「え……、あ、そうなんだ」

裕也の答えに安堵し内心でほくそ笑んだ。

「でも」

……。

「何回も会っていろんな話をしたら、恋愛できるかも」

……。

麻里は言葉が出ず裕也の横顔を凝視した。

「愛子さんのこと、どんどん知っていったら恋愛対象として見れるかも」

「……そうなんだ」

「いつだったか、居酒屋で告ったことあったけど本気にされなかったんだよな」

「居酒屋……」

そうだ、愛子を交えて三人で飲んだ時だ。あの時は裕也と愛子をくっつけようと必死だった。必死で作戦を練っていた自分を、麻里は思い返した。

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