覚めない微熱だけ、もてあましながら


「寒くない? 何か温かい物でも買ってこようか?」

と、急に優しくなったりもする。

「あ、大丈夫。ありがとう」

つかみどころのない裕也の性格に、どんどんハマりそうだった。



好きになりそうだった。



いや、もう好きかも知れない。



「ねぇ、さっきの話なんだけど……」

「ん?」

「社内恋愛の話……」

「あぁ~……」

「誰か、候補はいるの?」

カマをかけた。

「いないよ」

「じゃあ、会社以外だったら、多少気になってるのは……愛子?」

「まぁ、そうかな」

「へ、へぇ~……」

“ヤバい! 何かドキドキしてきた!”

「つーかさ、何でそんなに社内恋愛にこだわるの? もしかして、俺と社内恋愛したいわけ?」

「は、はぁ? まっさか~!」

図星をつかれ咄嗟に反対のことを言った。

「ま、俺は別にどっちでもいいけど」

裕也は意地悪っぽく笑い煙草に火をつけた。ライターをつけた時、ほのかな灯りが裕也の横顔を照らし、よりいっそうセクシーさを引き立てる。
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