覚めない微熱だけ、もてあましながら
腹立たしさを感じていても、何だか嬉しい気分にもなる。
“もしかして、私ってM体質!?”
「もしかして、オマエってM?」
麻里の心の声が聞こえたかのように裕也は言った。
「違う違う! 私はS!」
「へぇ~。ふ~ん」
「そんなことより、さっきの話!」
「言っちゃってみろよ」
「アンタんちに泊まってもいいの!?」
「やっぱりね。俺のカンは大当たり」
“またコイツの思うツボ~! 悔しい~!”
「けど、今日は駄目だよ」
「え?」
「初デートで、いきなり お泊まりは俺は無理」
“へぇ~、意外と硬派じゃん”
「何か今までのイメージと違うから、すごいギャップ」
「それってほめ言葉?」
「うん!」
「女の子ってギャップに弱いよね」
「そうだよ。男の子はどうなの?」
赤信号で車は停車し、裕也は小さく息を吐きネクタイをゆるめた。
……!!!
麻里は、そんな普通の日常的な仕草にドキリとした。