覚めない微熱だけ、もてあましながら
「古民家を少しだけ改装したんだ。場所もいいでしょ? 都心からも遠くないし。真夏は若者で騒がしくなるけど、今はちょうどいい時期」


みかは目を細めて、窓の外を眺めた。趣きのある籐のガラステーブルの上には温かい飲み物がふたつ、湯気を放っている。ハーブの健康的な香りが場を包み込む。


「まこと君と二人暮らしだっけ」


愛子は、マグカップに口をつけ、上目遣いで確認するように言った。


「そうだよ」


みかは呆気なく答え、


「今、二階の自分の部屋にいる。呼んで来よっか」

「えっ? あ、いいよ」

「まこと、愛子が来てるからすぐに降りてきて」


二階まで行くのが面倒なのか、みかはスマホからまことに電話をした。


すぐに階段を降りる音が聞こえてきた。青系のチェックのネルシャツにジーンズ姿のまことが現れた。以前とは違う髪型をしている。身なりが違うと、こうも違って見えるものなのかと、しばし見とれていると、
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