覚めない微熱だけ、もてあましながら
「甘党な顔してるもんね」

「でしょでしょ?ガハハハッ……」


麻里よりも先に那奈子がリアクションした。


「ねぇ、そういえばまだ誰も来てないの?」

「うん……そろそろみんな来ると思うけど」


ピンポーン!


「来た来た!」

噂をすれば……だ。
次にやって来たのは麻里と那奈子の同じ会社の同僚の夏野裕也。

「夏野君、入って入って」

麻里に居間に通された裕也は頭をかきながらその場に突っ立ったままだ。

「適当に座っててよ」

「うん」

座れと言われても三人掛けのソファがひとつしかなく……隅っこの方にある四脚に腰掛けた。隣には明が座っていて二人は互いに目を離さずに首だけ軽く曲げた状態で会釈した。
集合時間はとっくに過ぎていた。那奈子はダルそうにソファに座り、

「ねぇ麻里、あと何人来るの?」

「あとは……三人かな」

「お腹すいた~」

「もうちょっと待ってて」
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