覚めない微熱だけ、もてあましながら
“まこと君とみかは全然似てないよね。まこと君イケメンなのに、みかはさぁ……”

周りに絡んでは酒をすすめ、いちいち乾杯をする。男達は、いやとも言えず麻里にすすめられた酒を流し込む。そんな麻里を見ていた愛子は、オレンジジュースを持って勝手にバルコニーに出た。柵に両手を乗せて、遠くに見える東京タワーのキラキラ光る電飾を眺めていた。時期的に風は冷たいはずなのになんだか心地よかった。微風が、前髪を揺らす。

硝子ひとつ隔てた箱の中には酔っ払った女が暴れている。むろん、男相手に。

愛子がバルコニーに出るところを見ていた裕也は、


「寒くないの?」


と、麻里の目を盗んで愛子の隣に来た。


「うん……ちょっと酔っ払ってるから風が気持ちいい」

「そっか……」


裕也は、愛子の横顔を見つめていた。


「今日さ、あんまりみんなと喋ってなかったじゃん? だからなんか……気になってさ」
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