覚めない微熱だけ、もてあましながら
三人の電話番号とアドレスは聞き出したものの活用することができない。本当は、せっかく知り合ったのだから連絡を取って飲みに行ったり遊びに行ったりしたいのに。友達として。

友達として……。

どうしても気になることがひとつだけあって、それを解決しない限りは彼らと連絡を取る気にはなれなかった。


ポチ……


スマホを閉じ、洗面台の鏡に映る自分を見た。


ねぇ……。

何で? 何で愛子なの?


あの日――


土曜日の夜――


一人でバルコニーにいる愛子のところに裕也が……そして明も……

私じゃなくて、何で愛子なの?

麻里は鏡の中の自分をにらんだ。

男達はどうして愛子なの?

どうして……私じゃないの?

何度も何度も、そう思ってしまう。

女子メンバーの中では私が一番可愛いのに。

私が一番モテるのに。

今までもそうだった。中学も高校も、友達グループの中では私が一番モテていた。
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