覚めない微熱だけ、もてあましながら
一番、可愛かったのに。

そんなふうに、麻里は思い込んでいた。でもそれは、周りの子達が麻里よりも可愛くないだけの話。そんなことは麻里自身も気づいていた。気づいてはいたけど、でも、一番可愛くて一番モテていたのは事実だからそれを否定することは誰にもできなかった。そして、何よりも……

思い込みが激しい、この性格。

あまえキャラ、ぶりっ子。

これさえできればモテる。か弱い女を演じ、寂しがり屋な仔猫になれば……。

これが、麻里の作戦だった。

麻里と愛子は高校の時から仲が良かった。誰にでも優しくて親切な愛子は、麻里のグループの不細工な子達から慕われていた。そして、気がつけば麻里のグループに愛子はいて、麻里とは違い自然な可愛らしさを放つ愛子を、麻里は僻んでいた。

表面上では仲良くするけど心の中は妬みや憎悪でいっぱいだった。不細工な子達から慕われていても男子からモテなければいい。
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