覚めない微熱だけ、もてあましながら
麻里は心の中で、自分から自分へ質問した。

私がーー

鏡の中の私へーー

悪いのは、愛子だよ。

洗面台の鏡に映っている私が言う。


「悪いのは、愛子なの?」


そうだよ、全部愛子が悪いの。麻里は、全然悪くないの。


「そうか……そうだよね。私は悪くない。私は悪くないし、みかだって悪くない。悪いのは……愛子なんだ」


麻里は鏡の中の自分と喋って勝手に納得した。


「ねぇ……私、愛子が嫌い」


嫌いなら、関わらなければいいじゃん。


「そうだけど……でも愛子は必ずいるんだもん! 私の近くに……。絶対いるんだから!」


じゃあ、麻里はどうしたいの? 愛子が嫌いなら嫌いでそれでいいじゃん。いったい何がしたいの?


「復讐したい……」


麻里のこの言葉に、鏡の中の私は黙り込んだ。


「あ、でも復讐は大げさかな……。ちょっとした嫌がらせ的なことをしてやりたい」
< 35 / 147 >

この作品をシェア

pagetop