覚めない微熱だけ、もてあましながら
“明君、こんばんは。麻里です。こないだはありがとう、楽しかったよ。今日はちょっと報告があって……愛子のことなんだけど……。実は、愛子がね……明君のこと好きみたい。でも愛子は積極的な子じゃないから告白できないと思うんだよね……。”

麻里は、ここまでメールを打った。宛先をきちんと確認する。

“斉藤明”

確かに、確認した。

ドキドキしながら送信ボタンを押すーー


ーー送信完了しましたーー


この画面の文字を見た瞬間、さっきよりももっとドキドキしてきた。

どうしよう……。

しかしもう取り返しがつかない。ここはひとつ自分が思い描いた作戦を貫き通すしかなかった。

よし……。

麻里はスマホを鞄の中へ。よくわからない期待と不安で目眩がしてきた。しっかりと吊革につかまらないと転倒しそうだったから、改めて握り直した。

そして、明からの返信を待った。



………………



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