覚めない微熱だけ、もてあましながら
“明君……すごく優しい人……”

愛子は明のことが気になりだした。もっと、いろんなことを知りたいと思う。

おいしそうに、おでんを食べる明の横顔をじっと見つめる。

ピアスが、キラリと光った。

“パティシエが……ピアスしてるよ”

「何?」

不意をつかれる。

「あ、いや……何でもない。私も熱燗いっちゃおうかなぁ~」

「よし! 俺も! もう一杯!」

「そんなに飲んで大丈夫なの?」

心配してるような言葉をかけるが声が笑っている。

「大丈夫だよ。ていうか、まだ三杯目だから」



アルコールも入っているせいか、楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていった。



………………



おでん屋を出る二人。今日はいつもより暖かく感じた。

「一緒に電車に乗って、家まで送っていこうか?」

「大丈夫。一人で帰れるよ。それに……仕事に戻るんでしょ?」

「送ったあとに職場に戻ってもいいかなって」

「そんなの悪いからいいよ。一人でも大丈夫だから」
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