覚めない微熱だけ、もてあましながら
麻里は〈モテるツボ〉を知っている。


“男友達ができても、最終的にはコクってくるから”

そう、思い込んでいる。

ただ単純に尻軽なだけだが、そんなことには気づいていない。いや、気づいていたとしても、認めたくはない。

女友達は多いが、自分より顔やスタイルが劣る女がほとんどだ。なぜならば、わざとそういう低レベルの子を選んで仲良くしているから。表面上では自信たっぷりに振る舞っているが、実は自信がなくて小心者。オドオドしてしまう。

“あの子、私より可愛いから、あの人は……彼は私じゃなくてあの子を選ぶかも知れない……”

と思ってしまう。恋愛には、マイナス思考だった。

積極的に攻めていけるのに他の女の目が気になってしまう。もし自分が負けたら……常に周りの女達の行動が気になって仕方ない。

それほどの、マイナス思考なはずなのに……。

……でも、

常に自分が一番じゃないと納得できなかった。
< 5 / 147 >

この作品をシェア

pagetop