覚めない微熱だけ、もてあましながら
5、意外と近くにいた獲物~第二のターゲット~


〈5、意外と近くにいた獲物~第二のターゲット~〉



11月も、下旬――



さすがに寒さも厳しくなってきた。冷たく吹く風は頬を横切り、チクチクと刺すように痛く感じる。

街の中はクリスマスの匂いが漂っていて、賑やかで華やかな雰囲気が心をワクワクさせる。



昨日深夜、愛子のブログを見た麻里はかなり機嫌上々だった。何せ自分の作戦が成功したのだから。

土曜日の今日は公休日にもかかわらず早起きをした。……と言うより昨日のブログの件で興奮して眠れなかったと言った方が正しいかも知れない。

“明も愛子も騙されやすい……単細胞だわ”

麻里は、カウンターテーブルの上に置いてあるコーヒーメーカーから、コーヒーがゆっくりと落ちていく様を見ながら、そう思った。



考えているうちにコーヒーが全部落ちていた。ふと気がつき大きい愛用のマグカップに注いだ。おいしそうな湯気があがる。

麻里はソファに座り、携帯片手に迷っていた。

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