覚めない微熱だけ、もてあましながら
いつもなら日曜日の夜ともなれば憂鬱になる。明日からまた一週間がはじまると思うと、呪いたくなるくらい日曜日の夜が嫌いだった。

でも、今日は違う。待ちに待った日で、逆に今日のこの夜を楽しみにしていた。

麻里は予約をしてある居酒屋へ入った。三名で予約済みだ。待ち合わせ時間よりも15分も早く着いたが、それも作戦のうちだ。二人が先に着いてしまうと、二人でコソコソと詮索されては困る。失敗に終わる可能性もあるからだ。



日曜日にもかかわらず店は混んでいた。一応個室にはなっているが、学生の合コンや飲み会などの騒ぐ声が気になった。

黙って座っているだけでも何だか落ち着かない。

鞄から煙草を取り出し、火をつけた。思い切り煙を吐く。たちまち空気が白く立ち込めた。

“うまくいきますように……”

心の中で祈り続ける。

一人、静かに瞑想していると、

「お疲れー!」

麻里は驚いて顔を上げ、驚きのあまり思わず煙草を潰した。

「ここ、座っていい?」


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