覚めない微熱だけ、もてあましながら
「愛子はどうなの? 明君のこと好きなの?」

「それは、ん~……」

“早く答えろよ。どっちだよ”

「私は……」

と愛子が言いかけたところで、



「ごめん!」

「ちょっと七時すぎてるよ!」

“夏野裕也! 邪魔するな!”

麻里は、約束の時間に遅れてきた裕也に対しての怒りと、愛子の答えを遮った裕也に対しての怒りと……でもどちらかというと後者の方が強いかも知れない。

「ごめん! 寝坊した」

「寝坊!? 七時に待ち合わせで寝坊って……」

「とりあえず夕方頃起きて、シャワー浴びてボーッとしてたら遅くなった」

「もう……」

麻里は呆れてそれ以上何も言わなかった。それを見た愛子が、

「先に、ドリンク頼もうか」

裕也と麻里はビール、愛子は酎ハイを注文した。フードは愛子が適当に選んだ。



注文してすぐにドリンクが運ばれてくる。

「じゃあ、再会を祝して、乾杯!」

麻里が仕切った。それぞれ乾杯をするが、何か寂しい気持ちになる。愛子が、

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