覚めない微熱だけ、もてあましながら
「ホームパーティの時に比べたら、何か寂しいね」

「うん……しかも何で俺だけ男一人……ってのも意味わからん」

「みんな色々と都合悪くて。あ、それよりさ、夏野君と愛子ってホームパーティ以来だよね」

「そう……だな」

裕也は真向かえにいる愛子をじっと見た。愛子は恥ずかしくて目をそらす。

“ん……? 愛子、何で今目をそらした?”

麻里は小さいことでも絶対に見逃さない。

「愛子、飲んでる?」

「飲んでるよ」

笑顔で返す愛子に、麻里はイラつく。

実際はそんなに飲んではいなかったが、愛子は半分以上残っていた酎ハイを一気した。

「はぁ~!」

グラスをドカッと置く。

「いい飲みっぷりだねぇ。もっと飲んで飲んで」

「無理しない方がいいよ」

麻里がおだてるように言ったあと、すぐに裕也が心配そうに言う。

“ちょっと夏野ー! 何回も邪魔しないでよ!”

愛子が鳥の唐揚げをつかもうとする。が、うまくつかめず何回も落とす。

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