覚めない微熱だけ、もてあましながら
「大の方でもしてんじゃないの?」

「やっだぁ! 夏野さん下品です」

「そうか? 本当に、そうだったら?」

……。

裕也は真向かえに座っている愛子の目をじっと見た。

「俺のこと、ひいた?」

「ひきはしませんけど……。もしそうだとしても……それは、それでいいというか……」

「可愛い子だね、愛子さんは」

「そ、そうですか?」

「性格が、何か可愛い」

「せ、性格が……はじめて言われました」

「もちろん顔も可愛いけど?」

「そんなことないです」

「ねぇ、単刀直入に言うよ。いい?」

「はい」

「今、つきあいたいと思ってる男いる?」

「えっ! ……特にいませんけど」

「そっか……」

裕也は両手を床につき、上体をそらし、天井を見た。

「どうしたんですか?」

「いや、うん……なら俺とつきあう?」

「えぇーっ!」『うそーっ!』

トイレから戻ってきていた麻里も思わず声をあげた。

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