覚めない微熱だけ、もてあましながら
人の行き来が多い駅前で、ただただ裕也の後ろ姿を見つめていた。電車を降りてきた何人もの人達が愛子を避けて後ろから通り過ぎていく。周りの邪魔になっていることさえ気づかずにいた。
少し遠くなった裕也は信号待ちをしていたが、信号も青になって渡りやがてその姿は見えなくなった。
………………
愛子は電車に乗った。微妙に混んでいる車内で硝子に映る自分を見ながら、ふと我にかえる。
“私は、何をやってるんだろう……”
わざわざ自宅から離れたこんな遠い所まで来て、何がしたかったのかわからなかった。電車の硝子に映った自分の姿を見た時、格好が、普段外出する時の格好ではなかったことに、はじめて気づいた。
“何これ……変だよ。こんな格好で……”
裕也は、愛子の格好について指摘はしてこなかったから、余計に今となって恥ずかしいのと情けないのとでブルーになった。
やがて電車は大手町に到着、乗り換えのため長い長い地下通路を歩いた。相変わらず下水のような匂いがしてジメジメしていて空気が悪かった。
少し遠くなった裕也は信号待ちをしていたが、信号も青になって渡りやがてその姿は見えなくなった。
………………
愛子は電車に乗った。微妙に混んでいる車内で硝子に映る自分を見ながら、ふと我にかえる。
“私は、何をやってるんだろう……”
わざわざ自宅から離れたこんな遠い所まで来て、何がしたかったのかわからなかった。電車の硝子に映った自分の姿を見た時、格好が、普段外出する時の格好ではなかったことに、はじめて気づいた。
“何これ……変だよ。こんな格好で……”
裕也は、愛子の格好について指摘はしてこなかったから、余計に今となって恥ずかしいのと情けないのとでブルーになった。
やがて電車は大手町に到着、乗り換えのため長い長い地下通路を歩いた。相変わらず下水のような匂いがしてジメジメしていて空気が悪かった。