覚めない微熱だけ、もてあましながら
出かける直前に、そう書き込んだ。
“そうなんだ~。頑張ってね! うまくいくように祈ってるよ~!”
“気になる人って? 茶髪にヒゲにピアスのパティシエじゃなくて?”
そう書き込みされてるのを見てハッとした。
“明君のこと……気になる人って書いてたんだ……”
改めて、そう思い返す。確かに明は気になる存在にはなっていた。けど、どこの誰かもわからないネット上での人物に“気になる人”と指摘されると、思わずハッとしてしまう。自分から、書き込みしたにもかかわらず。
愛子は姿見の前に立ち、もう一度、今の自分の情けない格好を見直した。
裕也……。もう、裕也には会いたくない……いや、会えないと思った。いつかまた会う機会があったとしても、今日のことを思い出して恥ずかしくて会えないかも知れない。
明……。また会えるよね。また、会えたらいいな。今度会うことができたら、私いっぱい喋るよ。
“気になる人が二人……欲張ったからバチが当たったんだ”