覚めない微熱だけ、もてあましながら
「刺激になること?例えば?」


麻里は “刺激” という言葉が気になり思わず身を乗り出した。


「それは自分で考えようね」


那奈子はニコッと笑う。麻里は、那奈子が見せた笑顔の奥に、何か邪悪なものを感じた。笑顔なのに目が笑っていない。その目が、何かを物語っているように思えた。




………………




今日は月曜日ーー

休み明けだから会社は忙しかった。電話は多いし来客も多い。いくら眠くてダルくても、一日中ネイルアートされた手を眺めているわけにはいかない。

麻里は一応……

一応サボり魔の麻里も、さすがに今日は仕事に取り組んでいた。残業はほとんどなく、午後六時には退社できるのが唯一の救い……。那奈子と昼休み中に話していた内容のことも忘れ、眠気もダルさも忘れ、瞬きもせずにパソコンをガン見していると……ーー


「ちょっとあんた達! いい加減にしなさいよ!」


急な怒鳴り声。
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