覚めない微熱だけ、もてあましながら


そう言ってみかは、食器もさげずに自分の部屋へ行ってしまった。まことが何か言おうとして立ち上がるみかを見たが、みかの行動は素早く言う隙を与えない。まことはポカンとしてみかの後ろ姿を見送った。



バタン……



みかの部屋のドアの音が、何だか虚しく聞こえた。

「せっかく作ってやったのに……。ごちそうさまくらい言えよ」

小さな小さな……声で独り言が漏れた。

まことはムッとしながら、いつもより辛めのキムチチャーハンをスプーンですくっていた。



………………



もう会えないかも知れない。

もう、会いたくない……いや、違う。会いたい……でも、会うのが怖い。恥ずかしい。

「いったいどうしたらいいの?」

愛子はソファの上で体育座りをし、情けない声で言いながら顔を伏せた。

が、すぐに顔をあげ、どこかを見ている。

「……麻里?」

ふと麻里の存在が脳裏をよぎった。

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