覚めない微熱だけ、もてあましながら
「えぇ~、私言ったっけぇ~?」

「言ったよ言ったよ。愛子、あの時酔っ払ってたから覚えてないんだよ。きっと」

「そうかなぁ……」

「そうだってば~」

「ねぇねぇ、麻里と愛子と夏野君、三人で会ったの? どこ行ったの?」

みかが興味津々に首を突っ込む。

「普通に居酒屋だよ。夏野君が、また会いたいって言うからさぁ」

「とか何とか言っちゃってるけど、本当のところはどうよ?」

「どうよって、何がよ」

みかにしつこく問い詰められ、徐々に動揺が大きくなってくる麻里。

“とりあえず、ここは嘘で塗り固めなきゃ……”

必死で気分を落ち着かせる。

「お待たせ致しました」

ウェイターがビールを三つ運んできた。

“タイミング良し!”

麻里はテーブルの下で、気づかれないように拳を作った。

「じゃあ、乾杯しよ!」

仕切る麻里に、愛子とみかも賛同した。

“さっきの話をうまく流さなきゃ”

「話は戻るんだけど~……」

……。

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