覚めない微熱だけ、もてあましながら
「麻里、夏野君どうよ? って話」

「どうもこうも……何とも思ってないから。単なる同僚……じゃなかった。先輩」

「へぇ~……」

“しつこいな~、もう!”

「愛子も、麻里と同じ?」

「当たり前じゃ~ん!」

“嘘つくなよ。夏野君のこと気になってるくせに”

麻里は愛子を軽く睨んだ。自分は嘘つき女のくせに愛子が嘘をつくと無性に腹が立つ。

「なぁ~んだ。つまんないなー。恋が生まれると思ったのに」

「みか。私や愛子のことより自分はどうなの?」

「私は恋愛には興味ないもん。もう! 知っててわざと聞くんだから! こないだのホームパーティだって、たまたま暇だったから行っただけだし」

「まぁ、みかが恋愛に興味ないことは高校の時からだしね」

「そうそう。自由奔放って言葉、大好きだよ」

「男がいると自由がなくなる?」

「相手にもよるけど……」

と、みかが言いかけたところで急に室内の電気が消えた。

周りは、微かにざわつき始める。

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