覚めない微熱だけ、もてあましながら
「本当、まこと君はカッコイイよねぇ。ねぇ愛子。愛子もそう思うでしょ?」
「え? う……うん」
「何ボーッとしてんの?」
「別に……。あ、ねぇ、何かお腹空かない? 何か頼もうよ」
麻里の突っ込みに話をそらす。
「そうだね。お腹空いたね」
みかも愛子の流れに沿った。そしてみかはウェイターの方を見て手をあげた。
すぐにウェイターが来たと同時に、まことがみか達に気づく。
今日は、みか達が来るとわかっていたけど、それでも驚きは隠せない様子のまこと。なぜかしら動揺している表情だが、でもピアノは間違わない。完璧に弾きこなす。
「お呼びでしょうか」
「メニューお願いします」
「かしこまりました」
ウェイターは、サイドテーブルの上からメニューを一冊取り、
「失礼致します」
そして、また同じように厨房へと消えていった。
愛子の正面にいるみかと麻里はメニューを見ている。
別の方角からは、
まことが、
見ている。