秘密、だよ。


行為後、僕は優奈の乱れた
衣服を直してやった。

そして玄関に立つと、


『悪かった。
僕は優奈と一緒にいたいから、
まだ死にたくはない。だから。』


そう言って優奈の方へ
振り向いた。

そこには僕の予想した通り
笑っている優奈がいた。

手には包丁を握って。


『やっと、死にたくないって
言ってくれたね。』


全ては、僕の計算通り。

これで、僕は、死ねる。


『…何するつもりだ。』


白々しい演技も、死ぬためなら
どれだけでもしよう。

さぁ、早く。
早く、俺を、俺を、殺せ!!!!



ヅプっ―

言葉では言い表せない音と
考えられないほどの量の
赤黒い液体が飛び散った。



『はは…は…ははは…』



僕の口からは渇いた笑いが
溢れ出した。
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