計算できない恋愛
廊下の角を曲がった所で笹田と遭遇した。
「恭ちゃん、おはよ!あれ?ちょっと顔色悪いけど大丈夫?」
今日も綺麗にそろった前髪を風にたなびかせている優雅な笹田が、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
「うん、おはよう。朝から笹田の顔見たからちょっと気分が・・・」
そう言ってお腹を抱えて苦しそうな仕草をする私の背中を勢いよく何度か叩いて笑いながら教室に向かう笹田。
相変わらずあの怪物は力の加減というものを知らない。
そんな笹田とのやりとりで何故か楽しい気分になって、一人頬の筋肉を緩ませていると知らぬ間に自動販売機まで辿り着いていた。
そのせいで気付けなかったんだ。
ふと顔を上げると、廊下の向こう側から王子が楽しそうにこちらに向かって小走りで駆けてきていた。
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