TWILIGHT SLIDER
病室に入ってきたのは、綾乃だった。

「――綾乃…」

「お見舞いにきたの。

夕夜が病院に運ばれたって、間宮くんから聞いたの」

そう言って、綾乃は笑顔でスーパーの袋に入ったグレープフルーツを見せてきた。

「夕夜、グレープフルーツ大好きでしょ?

買ってきちゃった」

綾乃が華の存在に気づいたらしく、彼女に視線を向けた。

「夕夜、この子は?」

そう聞いた綾乃の表情が強張った。

「大村さん、サークルに入ってきた新入部員の子なんだ」

夕夜は華を紹介した。

「大村華です」

華が綾乃に頭を下げた。

「ああ、そうなの…」

綾乃は呟くように返事した。

何故かこの場に沈黙が流れた。

その沈黙を破ったのは、綾乃だった。
< 102 / 202 >

この作品をシェア

pagetop