TWILIGHT SLIDER
「――えっ…?」

驚きのあまり、かすれた声しか出なかった。

「大村さんに、俺に近づかないで欲しいって言ったんだろ?」

そう聞いてきた夕夜に、
「…大村さん、話しちゃったんだ」

綾乃が呟くように言った。

「大村さんが正直に話してくれたよ」

「だって、夕夜は私のものじゃない」

「“もの”?」

そう聞き返した夕夜に、
「夕夜は大村さんのものじゃなくて、私のものでしょ?」

綾乃が顔を覗き込んできた。

「…束縛は、もうたくさんだ」

そう言って夕夜は綾乃に背中を見せた。

「だから、もう別れて欲しいんだ。

大村さんを守りたいんだ」

「――私は嫌よ!」

夕夜の背中に向かって、綾乃は叫んだ
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