TWILIGHT SLIDER
昨日、夕夜に全てを話した。

病院で交わした綾乃との会話も全て彼に話した。

夕夜はちゃんと自分の話に耳を傾けてくれた。

そして、夕夜に言われた。

――話したかったら、我慢しなくてもいいよ

――俺が全部聞いてあげるから、何もかも話してくれ

八神とは違うと、華は思った。

彼から束縛や独占欲は感じなかった。

――大村さんのつらさも苦しみも、全部取り除いてあげたいんだ

ちゃんと自分を理解してくれようとしている。

夕夜がそばにいると、ほんのりと華の胸が温かくなって心が安心した。

裏庭につくと、まず目に入ったのは若葉の桜だった。

入学式の時、ここで初めて夕夜と出会った。

この桜を見あげる夕夜の顔がとても素敵だった。
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