TWILIGHT SLIDER
狭い部屋の中で、綾乃は泣いた。

毎日のように母親に殴られて、怒鳴られて、あんなにも涙を流したのに、こんなにも涙が残っていたのかと思った。

母親は自分の好きな男を作って、どこかへ出て行ってしまった。

やっぱり、自分は愛されていなかった。

母親がどんなに暴力を奮っても、心のどこかでは自分を愛してくれていることを願っていた。

いつか暴力をやめて、自分を愛してくれると思っていた…けど、そうじゃなかった。

母親は綾乃に暴力を奮い、自分は自分で好きな男を作った。

自分への愛なんて少しもなかった。

本当に嫌いで、自分に暴力を奮っていた。

――生まれてこなきゃよかった!

母親の声が聞こえたような気がして、綾乃は耳をふさいだ。
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