TWILIGHT SLIDER
おしゃれな雑誌を熟読し、メイクの仕方も覚えた。

それらの努力のおかげもあり、綾乃は周囲から“学校のマドンナ”と呼ばれるようになった。

男子からの告白は日常茶飯事で、その数は数え切れないほどである。

母親から虐待を受けていた自分はもういない。

自分はこんなにも愛されている。

自分が誰よりも1番愛されている。


「――知らなかったよ…」

話を聞き終えた夕夜が言った。

「綾乃がお母さんから虐待を受けていたこととか、いろいろ知らなかったよ…」

華はうつむいて黙っていた。

「夕夜に嫌われると思って、話してなかったの…」

「そうか…」

「夕夜の気持ちが大村さんに傾いてると知った時、すごくショックだったの…」

ポツリと、綾乃が呟くように言った。
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