TWILIGHT SLIDER
華は深呼吸をすると、
「三宅先輩には幸せになって欲しいと思ってます。

本当に、自分を愛してくれる人とちゃんと幸せになって欲しいです」

そう言って、綾乃を見つめた。

「――大村さんにはかなわないや…。

ひどいことしたのに、私のことを思ってくれて」

独り言のように、綾乃が言った。

「夕夜が大村さんを好きになったのもわかるわ」

そう言った綾乃に、
「えっ?」

華は不思議そうに首を傾げて、夕夜は目をそらすようにうつむいた。

「じゃあ…私、帰るね」

綾乃がソファーから立ちあがった。

「あ、送ってくよ」

夕夜が顔をあげてソファーから腰をあげようとすると、
「タクシーを拾ってくから」

綾乃が言った。

「そう…」

「じゃあ、またね」

「さようなら」

綾乃がリビングから立ち去った。
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