TWILIGHT SLIDER
「――華…」

その空に向かって、八神は最愛の人の名前を呟いた。

何度も愛の言葉を言っても足りないくらいに、華を愛している。

華に暴力を奮うのは、彼女のことが嫌いだからじゃない。

彼女への愛し方を知らないだけだ。

愛し方を知らないから、奮いたくもないのに奮ってしまうのだ。

そのせいで、いつも笑っていた華の顔から笑顔が消えた。

気がついたら…怯えたような、泣きそうな顔で、自分を見つめる華がいた。

自分のせいで、華の顔から笑顔を消えた。

華のことを愛しているから笑って欲しいのに、いつも笑顔でいて欲しい…なのに、自分は愛し方を知らない。

愛し方を何も知らないから、華を泣かせてばかりだ。

自分のせいで華は泣いてばかりいる。
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