TWILIGHT SLIDER
華は八神に気づいていないと言うように、夕夜と一緒に肩を並べて歩いていた。

楽しそうに、幸せそうに笑顔を見せながら華は一緒に歩いていた。

自分を泣きそうな顔で見ていたのがウソのような、幸せな笑顔だった。

華の姿がその場からいなくなっても、八神はその場に突っ立ったままだった。

「――僕は、華を不幸にさせてばかりだ…」

自分がいない華は、あんなにも幸せそうに笑っている。

それに対して自分は、華に何をしたのだろうか?

ただ暴力を奮って、華を泣かせただけだ。

華の心に、深い傷を負わせただけだ。

華が笑顔になることなんて、何にもしていない。

「――何でなんだろうな…」

そう思いながら、八神は呟いた。
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