TWILIGHT SLIDER
八神が低い声を出したことに、華の躰は震えを覚えた。

「――要は、好きな男のために俺と別れるってことだろう?」

彼の低い声に恐怖を感じたが、華は首を縦に振ってうなずいた。

「隆一は、優しい人だって思ってる。

けど、私は…」

言葉を続けようとする華をさえぎるように、部屋に乾いた音が響いた。

「――隆一…?」

八神が華の両肩をつかんで、
「きゃっ!」

華は八神に荒々しくフローリングのうえに押し倒された。

「待って、隆一。

話がまだ…」

「――んだよ」

「えっ?」

「うるせーんだよ!」

八神が声を荒げて怒鳴った。

「待って…!

お願い、話だけでも聞いて…!」

肩をつかんで押さえつける八神に抵抗するように、華は彼の手首をつかんだ。
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