TWILIGHT SLIDER
本当に幸せで仕方がないと言うようなあふれんばかりの笑顔に、八神の胸が締めつけられた。

「――僕は…華にとって、どんな存在なんだ?」

そう呟いた八神の頬を、一筋の涙が伝った。

華から笑顔を奪って、泣かせて、傷つけた自分に八神は嫌悪感を感じた。

もしかしたら、自分がいない方が華は幸せなのかも知れない。

自分がいるから、華は不幸になる。

だから、華は笑うことができない。

「――ただ、愛したかっただけなのに…」

止まることを知らないと言うように、涙が頬を伝った。

華を愛したかった。

好きだから、愛したかった。

ただそれだけのことだった。

けど、自分がここに存在したら華は傷つくだけである。

フラリ…と、八神はその場から立ちあがると華のそばから離れた。
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