TWILIGHT SLIDER
「入るよ?」

お邪魔しますと呟くと、夕夜は中の方へと足を進めた。

そのままリビングに顔を出すと、
「華!?」

目の前の光景に、夕夜は目をおおいたくなった。

裸の華を囲むように、紙くずのように散らばった服があった。

白い脚に貼りついた乾いた血が生々しくて、夕夜は目をそらしたくなった。

当の本人は目を閉じて、そのことに気づいていないようだった。

唇の端についた乾いた血が痛々しくて仕方がない。

夕夜は華に駆け寄ると、裸の華を抱き起こした。

「華!

華、しっかりしろ!」

夕夜は華の躰を揺すって、名前を叫んだ。

「――うっ……」

華がうめき声をあげて目を開いた。

「――華…」

夕夜は華が目を開けてくれたことにホッとして胸をなで下ろした。
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