TWILIGHT SLIDER
「夕夜がその子に心変わりしちゃったら…私、夕夜を包丁で刺すかも知れない」

そんなことを綾乃は他人事のように淡々と言った。

彼女の躰から殺気のようなものを感じて、夕夜は思わず身震いをした。

「だって私は、夕夜の1番なんだもの」

フフッとかわいらしく、嬉しそうに笑いながら綾乃が言った。

「ううん、2番も3番も夕夜は私だもん」

手の震えをを隠すように、夕夜はギュッと拳を作った。

「夕夜、そうでしょ?」

目の前の唇から、その言葉がこぼれ落ちる。

同意を求めるように、待っているように、綾乃は首を傾げて悩ましげに夕夜を見つめている。

漆黒の瞳に、自分の顔が映っている。

夕夜はその瞳からそらすように微笑むと、
「…うん、そうだよ」
と、答えた。
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