TWILIGHT SLIDER
「――ウソ…」

そのビルを見た華が小さな声で呟いた。

彼女の顔は、ほとんど青に近い状態だった。

「華、どうしたの?」

華の様子に戸惑いながら聞いた夕夜に、
「――あのビル、隆一が働いているところなの…」

華は呟くように質問に答えた

「えっ…?」

夕夜はもう1度ビルに視線を向けた。

「とにかく、何があったか聞いてみよう」

夕夜は近くに立っていた中年の男に、
「すみません」
と、声をかけた。

「何かあったんですか?」

そう聞いた夕夜に彼は悲しそうな顔をすると、
「どうやら、人が飛び降りて死んだらしいんだ」
と、答えた。

「死んだ?」

彼の言ったことが信じられなくて、夕夜と華は顔を見あわせた。
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