TWILIGHT SLIDER
現場から離れると、一緒に夕夜の自宅があるマンションへと足を向かわせた。

夕夜の部屋に到着した華は、先ほど警察官から渡された白い封筒を見つめていた。

「開けないんだ」

夕夜の声に顔をあげると、自分の隣に彼が座っていた。

「――何か、戸惑っちゃって…」

そう言った華に、
「八神さんからの手紙は初めてなんだ?」

そう聞いてきた夕夜に、華は首を縦に振ってうなずいた。

「だから、戸惑うの」

「そっか」

2人の間に沈黙が流れた。

先にその沈黙を破ったのは、華の方からだった。

「私、読んでみる」

そう言って、華は封筒を破った。

「途中から嫌になったら、無理しなくていいからね?」

「わかってるよ」

破った封筒の中から、丁寧に畳まれた何枚かの便せんが出てきた。
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