TWILIGHT SLIDER

└一緒に未来へ

それから数日が経った。

「結局は、八神さんも苦しんでたんだな」

そう言った亮一に、
「うん」

夕夜は首を縦に振ってうなずいた。

「俺が今まで生きてきた人生はどちらかと言うと平凡で…華や八神さん、綾乃が経験してきたことは想像することしかできない」

呟いているような声を出しながら、夕夜が言った。

「虐待やいじめとか、そんなものは遠い世界のものだった。

両親も元気で、友達もいて…それなりに悩みはあるけれど、楽しいことの方が多かった」

「けど大村ちゃんたちからの立場から見た俺たちの世界は、遠い異国の世界にしか過ぎない。

そう言うことだろう?」

亮一の言葉に、夕夜は首を縦に振ってうなずいた。

「八神さんが華を幸せにできなかった分、俺が華を幸せにしたい」

そう言った夕夜に、
「頑張れな、ユウ」

亮一が優しく微笑んだ。
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