TWILIGHT SLIDER
夕夜とは、3ヶ月経った今でも躰の関係はなかった。

――華の傷が癒えるまで待つから

自分に気をつかって、夕夜は華を求めてこなかった。

だから、この子は八神の子供だと確信した。

けど…本当は、夕夜の子供が欲しかった。

八神の子供じゃなくて、夕夜の子供がよかった。

華の目が涙でにじんだ時。
「――産みます」

その声に、華は夕夜を見た。

真っ直ぐと、真剣な表情で前を見つめる夕夜がいた。

汚れを知らない真っ直ぐな目に、華は飲み込まれそうになった。

「この子を産みます」

ゆっくりと、夕夜が医師に言った。

「お母様は?」

医師が華に問いかけてきた。

「はい、もちろんです」

華は首を縦に振ってうなずいて、答えることしかできなかった。
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