TWILIGHT SLIDER
病院からの帰り道、華は夕夜に話しかけた。

「――ねえ」

華の声に、前を歩いていた夕夜が振り返った。

「どうして産むなんて言ったの?」

その質問に、夕夜は首を傾げた。

すぐに意味がわかったらしく、
「華の子供だからだよ」
と、夕夜が言った。

「私の子供?

けど、この子は隆一の子供でもあるんだよ?

夕夜の子供じゃないんだよ?」

そう言った華の目から涙がこぼれ落ちた。

「――私、夕夜の子供が欲しかった…」

呟くような小さな声で、華が言った。

2人の間に沈黙が流れる。

「――けどさ」

その沈黙を破るように、夕夜が言った。

「例え父親が誰であろうと、その子は華の子供なんだよ?」
< 192 / 202 >

この作品をシェア

pagetop