TWILIGHT SLIDER
「――大村、さん…?」

壊れ物を扱うような慎重な声で、夕夜は華を呼んだ。

華が気づいたと言うように、夕夜に視線を向けた。

「――桜木先輩…」

小さなソプラノの声で、華が夕夜を呼んだ。

「探した、道に迷ってたらどうしようかと思って」

夕夜が歩み寄りながら言ったら、
「――あ、ごめんなさい…」

小さな声で、華が謝った。

夕夜は彼女の隣で桜を見あげると、
「桜、好きなの?」

華に聞いた。

「…はい」

華が呟くように、夕夜の質問に答えた。

「すごくキレイなので…」

沈黙が2人の間を流れた。

その沈黙を破ったのは、華の方からだった。

「――そう言えば桜木先輩も、名前に“桜”が入っていますよね?」

夕夜は華に視線を向けると、
「入ってるよ」
と、答えた。
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