TWILIGHT SLIDER
夕夜は華の顔をジッと見つめると、
「――大村さん、ばんそうこう…」
と、言った。

華の右頬を隠すような大きなばんそうこうが顔にあった。

「えっ、ああ…」

華はばんそうこうを隠すように、片手でおおった。

「どうしたの?」

そう聞いた夕夜に
「えっと…昨日、転んじゃったんです」

華は呟くように答えた。

「えっ、大丈夫?」

「大丈夫です、転けるのはいつものことなので」

「そう、お大事にね」

「ありがとうございます」

華は頭を下げると、それ以上は聞かれたくないと言うように早足で夕夜の前を去った。


数分後、夕夜は部室にいた。

「転けただけなんだろ?」

亮一が言った。

「うん…」

首を縦に振ってうなずいた夕夜に、
「じゃあ、そうだろ」

亮一は言い返した。
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