TWILIGHT SLIDER
「そうだけど?」

亮一は不思議そうに首を傾げた。

「大村ちゃんって、誰?」

そう聞いてきた綾乃に、
「俺たちのサークルの新入部員だよ。

ユウから聞いてないの?」

亮一は答えた。

「話なら少しだけ…つきあってる人がいるんでしょ?」

「そうだけど…って、何で三宅がそんなことを聞いてくるの?」

「ごめんなさい…」

「謝るほどでもないけど…じゃ、もう帰るわ」

「ありがとうね、忙しい時に」

「んー」

亮一は椅子から腰をあげると、綾乃の前を去った。

彼の後ろ姿を見送った綾乃はテーブルに突っ伏すと、両手で頭を抱えた。

――お前なんか生まなきゃよかったよ!

――この疫病神!

綾乃は守るように、両手で頭を抱えることしかできなかった。
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